邦画『月はどっちに出ている』

■奇才・崔洋一監督の名を世に知らしめた大胆、過激!の問題作

 

在日コリアンのタクシー運転手とフィリピーナの恋を軸に、在日外国人をはじめ東京でたくましく暮らす様々な人々の姿をエネルギッシュに描いた悲喜劇。WOWOWで“J・MOVE・WARS”の一本として放送された崔洋一監督の短編を監督自ら劇場用に撮り直した。

金田タクシーに勤める在日コリアンの忠男だったが、ある日、母の経営するフィリピン・パブで働くことになる。そこで、妙な大阪弁を喋る新顔のコニーに出会い、あの手この手でアタックをかけるが、コニーはさらりとかわしてしまう……。

在日韓国人のタクシードライバーの日常を通して、日本人の中にある差別意識をえぐりだす喜劇は、公開当時、10年間でいちばんの問題作といわれた。差別用語、放送禁止用語が飛び交い、多国籍の人間たちが、したたかに大らかにぶつかり合う。在日朝鮮人二世の小説家・梁石日(ヤン・ソギル)の「タクシー狂躁曲」を在日二世の崔洋一監督が映画化。といっても、構えることなく、大胆、過激でありながらもフットワークはあくまで軽い。いってみるなら、どこにでもあるかもしれない都会の日常、人間模様。そこに崔洋一監督ならではの風刺と批判精神が、要所要所に見え隠れしている面白さ。登場人物たちがとにかく魅力的。放送禁止用語が飛び交うアブナイ日常の中、繰り広げられるふたりのキュートな恋物語は人々を虜に。奇妙な大阪弁でまくしたてるフィリッピーナのホステル、ルビー・モレノがなんといってもチャーミング!また、遠藤憲一、國村隼、萩原聖人、古尾谷雅人、麿赤児、有薗芳記⋯など豪華な個性派俳優陣が脇を固め、この映画独特の世界観を醸し出す、若き日の名優達の怪演は見逃せないw!

ジャンル:ドラマ/コメディ

製作国:日本

製作年:1993年

初公開日:1993年11月6日

上映時間:95分

出演: 岸谷五朗, ルビー・モレノ, 絵沢萌子, 小木茂光, 遠藤憲一

監督: 崔洋一

●第17回日本アカデミー賞・優秀作品賞、優秀監督賞、等6部門受賞

●キネマ旬報1993年度ベスト・テン日本映画第1位、監督賞、等6部門受賞

●第36回ブルーリボン賞・主演女優賞、新人賞、等3部門受賞

●第18回報知映画賞・最優秀作品賞、最優秀監督賞、等3部門受賞

●93年度毎日映画コンクール・日本映画大賞、等4部門受賞

●第6回日刊スポーツ映画大賞、監督賞、新人賞等2部門受賞

●第36回朝日ベストテン映画祭・日本映画第1位

●第3回日本映画批評家大賞・特別賞

●第15回ヨコハマ映画祭・ユ93年日本映画ベストテン第1位、等7部門受賞

●第18回おおさか映画祭・邦画ベスト・テン第1位、等5部門受賞

●第8回高崎映画祭・最優秀作品賞、最優秀助演女優賞、等3部門受賞

●日本映画ペンクラブ選出・93年ベスト5第1位

●ベルリン映画祭ヤング・フォーラム、第1回ネット・パック賞受賞



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