釜石市の遺体安置所を舞台にした『遺体』の続編とでもいうべきもの。各所で絶賛されたこの作品では描けなかった、小さな物語を集めたノンフィクションです。東日本大震災に被災した人々は、どのように肉親の死を受け入れているのか。各地の避難所で起こった「幽霊騒動」とは? DNA鑑定が遅遅として進まないのはなぜか? マスコミが報道してこなかった震災の真実を、つぶさに取材してき石井光太氏がすくいとります。震災の果てに希望を見出した著者の、限りなく優しいまなざしが胸に迫る。我々は当時の惨劇やあらゆる混乱からまだ多くのことを教訓化しなければならない。震災から日が経った今だからこそ書ける「現実」を生々しく描写している。震災直後、被災された方々は、粛々と、整然と死を受け入れた、というのが多くの人の「記憶」だろう。しかし、筆者が被災地を歩く中、そこにはエゴが渦巻き、語られない酷い実態も多くあったのだ。突然の家族の「死」がさらけ出す家族の愛憎、被災の現実を報道するマスコミの、現地での葛藤。被災地から離れた「上」と現場の対立。我々は、時々こうした震災の「現実」を描いた本を開き、3・11がどのようなものであったのか、思い出していかなければならないと思う。著者は、世界の最も貧しい地域にまで足を踏み入れ、一切の虚飾も美化も拒み、ありありとその現実を伝えてきた。30代の青年が持つみずみずしい感受性と、極限状態に置かれた人間とじかに接し伝え続けてきた豊かな経験が、本書の執筆にもいかんなく発揮されている被災地の陰の部分にスポットを当てたルポルタージュ。
青春時を一緒に駆け抜けた音楽、恋を教えてくれた映画、小さい頃から何度も何度も読み返した本…。
いつだって私の側には本と映画と音楽があった。
そして、現在進行形で刻まれているArikaの日々の「本と映画と音楽の履歴書」。
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