*死者を悼むといういのちの尊さ、美しさに気付く…。
ママを亡くしたあたしたち家族の世話をしにやってきたフローおばさんは、死んだ人を清めて埋葬の準備をする「おとむらい師」だった……。
19世紀半ばの大草原地方を舞台に、母の死の悲しみを乗りこえ、死者をおくる仕事の大切な意味を見いだしていく少女の姿をこまやかに描く感動の物語。
金原瑞人選オールタイム・ベストYA第一弾!
スコットランドやドイツからの開拓者が多くいたアメリカのミネソタ州では、1800年代の7終わりまで、人が亡くなると「おとむらい師」が埋葬の準備をしました。
母親の死を受け入れられない11歳の女の子にとって、一緒に暮らすためにやってきたおばさんの仕事が死にまつわるものであれば、なおさら受け入れられなかったことでしょう。
でも、やがて彼女はその仕事の尊さにひきこまれていくのです。
作者の曾祖母の母レイチェル・コーネリアスの日記をきっかけに書かれたパーソナルストーリ-。
1870年代のカレドニアでの生活がいきいきと描かれていますし、アメリカに暮らし始めたばかりの人々はそれぞれの出身の国の伝統を大事に守って過ごしていたのがよくわかります。
フローおばさんにはハーブを扱い、出産と死に立ち会うという「おとむらい師」という役目があります。
これはドイツから続いている伝統なのかな、自然と人々の生活を結ぶ、本来の意味での魔女のようなものなのでしょうか?
おばさんと心が通い始めるとともに、イーヴィもただ支えられるだけではなく、おばさんの孤独なこの役目を支えていくようになります。
自分の暮らしを見失いそうになったとき、家族っていいなと感じたときなど、折に触れ何度でも読みたい本です。
ただ、ひとつ欲を言えば、亡くなったひとがまだ生きてるようだという見た目の話だけでなく、血の通わなくなった死体がどのくらい冷たいものなのか、実際に触ったひとでなければ伝えられない驚きも書いてほしかったなと思う。
その描写さえあれば、死者を悼むということがどんなことなのか、経験の浅い読者にももっと感じられただろうにと思った。
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