■米社会への皮肉もあるが親子で楽しめる
子供の頃、親からひどくしかれらたりした時、ひどい親を持つ自分が不幸に思えて、よその子だったら良かったのにと思わず願ったり、優しそうに見える友人の親が羨ましくなったりした経験が誰にでもあるはず。
主人公ノースもまた、そんな思いにふとかられてしまった少年の一人。成績が悪くてしかられたわけじゃない。むしろ他の子の親や先生から称賛を受けるほどの優秀生なのだ。なのに両親はいつも自分の仕事や、互いに言い争うのに忙しくて、ひとり息子に正当な評価を与えようとしない。業をにやした彼にあるアイデアが浮かぶ。それはプロ野球のFA(フリー・エージェント)制をヒントに、自分で自分の親を選択する権利を主張し、行使するというもの。最初は単なる思いつきに過ぎなかったが、他の子供たちの熱烈な支持もあって思いの外の騒動に発展する。優秀なノースに多くの申し込みが殺到。テキサス、ハワイ、アラスカ、北京と両親候補者を訪ねる旅は続くが、なかなか理想の両親は見つからない…。
この中でブルース・ウィリスがノースを導く謎の人物として要所要所に登場し、映画に渋めのアクセントを添えるのも見逃せない。彼が悩めるノース少年の前に最初に現れるとき、ウサギのぬいぐるみを着込んでいることに注目。ウィリスはノースを『不思議の国』に誘うウサギなのだ。ともあれ、子供たちが問題の解決を図る際に裁判やFA制度を利用するという現代アメリカ社会への皮肉とも取れる『要素も交えつつ、ロブ・ライナー監督の手堅い演出のもとで誕生した、子供も親も楽しめる(考えさせられる?)新手のメルヘンとして評価したい作品である。
製作・監督: ロブ・ライナー
製作・原作・脚本: アラン・ツァイベル
脚本: アンドリュー・シェイマン
撮影監督: アダム・グリーン・バーグ
音楽: マーク・シャイマン
出演: ブルース・ウィリス/イライジャ・ウッド/ジョン・ロビッツ/ダン・エイクロイド/キャシー・ベイツ/ケリー・マクギリス/グラハム・グリーン/アレキサンダー・ゴドノフ
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