■故・夏目雅子さんの夫としても知られる小説家・伊集院静の原作
遊び人の中年男と、彼を一途に愛する白血病の若い妻との切ない恋を描くドラマ。立原憲一は、白血病に罹り、入院して半年余り経つ妻・里子の笑顔を久しぶりに見た。彼の仕事仲間の栗崎三郎が見舞いにやって来て、楽しく話相手をしてくれたからだ。かいがいしく里子の世話をする憲一の姿は、それまでの彼からは想像もつかないものだった。病院で自分のパジャマを開き、乳房を見つめて『小さくなったな』と呟く里子は、自分の病状に気づいているようであった。いまさら善人になっても何もしてやれないことに嫌気がさした憲一は、夜な夜な三郎と放蕩に耽る。騒げば騒ぐほど空しさが募る憲一を、そっと優しく見つめる里子。深夜に訪れた憲一の手を、里子はその小さな胸に導く。永遠のような静寂が、二人を包んでいた。「クレープ」とともに、伊集院静の原作2本を2本立てで公開した中篇で、伊集院が故・夏目雅子との自らの体験を元にして書いたと言われる同名原作をもとに、「課長 島耕作」の根岸吉太郎が監督。脚本は「ザ・中学教師」の斎藤博。撮影は丸池納が担当。ヒロインの里子役にはオーディションにより新人の及川麻衣が選ばれた。
製作年:1993年
製作国:日本
配給:東映
監督:根岸吉太郎
脚本:斎藤博
原作:伊集院静
製作総指揮:黒井和男
企画:中沢敏明
キャスト
小林薫、及川麻衣、 竹中直人、 戸川純、 金久美子
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