山の神に愛された女郎と銀を掘る少年。幕末の石見で出逢った二人の灼熱恋愛長編!
石見銀山で育ったお登枝は身寄りもなく近々女郎になる。客をとる前夜、お登枝は堪えきれず密かに想いを寄せていた銀掘の伊夫の元へと逃げるが、別の男に後をつけられていていた――。
やがて遊郭一の女郎となったお登枝は伊夫を想い続けながらも、開国という時代の大きな変化に巻き込まれていく、二人の過酷な運命の果てに何が待つものは。
期待通り、読みだしたらぐんぐん物語の世界に引き込まれた。
若く美しい女郎と銀山を掘る少年の切ない恋に、胸が締め付けられるような思いをしながら、二人に絡んだ事件の結末と二人の恋の行方が早く知りたくてページをめくる。
あっという間に読了。幕末の石見を舞台に、悲しい生い立ちゆえ女郎になる女性を主人公に、男と女の物語が語られる。このところ女郎が主人公のお話を読むことがたまたま重なった。苦界に身を置くしかなかった女性たちの、悲しいだけではない逞しい姿にいつも感心させられる。
幸せかどうかは本人の問題ですが、個人で立ち向かうには限界があるなぁと感じました。でもお登枝は人に恵まれていると思います。六蔵爺しかり、馬蔵しかり、伊夫がそれぞれに想ってくれているので。やっぱり男の様に理屈をこねるよりもしたたかに生きる女の方が一枚上手ということでしょうか・・・・。
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