卒論執筆のために、高齢者への食事配達ボランティアを始めた大学生の総司は孤独に暮らす老婆・カエと出会う。家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語り始める。残酷な運命によって引き裂かれた男との話には、総司の人生をも変える、ある秘密が隠されていた。古い言葉使いで描かれる老婆の物語と現代が交じわったときに、明かされる真実が切ない。切なさ溢れる衝撃の結末が待ち受ける感涙必至の長編ミステリー。
ちなみに、本作品の主役級の老婆・カエは、芸術探偵シリーズ「ジークフリートの剣」の冒頭にも登場します。そちらは未読でも、直接の影響はありませんが、読んでいると、人物像に一層興味が湧くと思います。
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