*第28回三島由紀夫賞受賞作。
時空を超えて転生する「私」の10万年越しの恋。
旧石器時代の洞窟で、ナチスの収容所で、東京のアパートで、私は想う。
人類の旅の果てに待つ私の恋人のことを…。
アフリカで誕生した人類はやがて世界を埋め尽くし「偉大なる旅」一周目を終える。
大航海時代を経て侵略戦争に明け暮れた二周目の旅。
Windows95の登場とともに始まった三周目の旅の途上で、私は彼女に出会った。
個性的な小説というのは、如何に著者が突飛な妄想を巡らせたかによって生み出されるものなのだなと感じる。
ありふれた妄想からは、ありふれた小説しか出て来ない。
本作も、主人公=著者の数十年~数万年にわたる壮大な妄想から生み出された、人類史を舞台とした情念を言葉に置き換えたといった内容。
あらすじから察するに「旧石器時代」「ナチスの強制収容所」「東京のアパート」という異なる時代を股にかけたラブストーリーが壮大なスケールで描かれるらしい。
本書は十分に個性的と言えるのだが、評者の個人的な欲求からすると、もうひとひねり欲しかったと感じました。
ちなみに、表紙の絵がパウル・クレーというのもポイント高い!
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