東京ホタル /中村航・小路幸也・穂高明・小松エメル・原田マハ (著)

2012年から始まり、自然と共生できる都市にという願いを込め、隅田川にホタルにみたてた10万個の光「いのり星」を流すイベント「東京ホタル」とのコラボ企画。人気作家陣が紡ぐ東京の新たな“原風景”。隅田川付近の下町を舞台に、それぞれの想いが響き合う切なく温かな涙がこぼれる5つの「再会」の物語。5人の作家がそれぞれの持ち味を十分に生かした胸を撃つストーリーを描く。


中村航『はぐれホタル』。昔の恋人と再会した隅田川沿いを歩きながら遠い約束を果たす甘酸っぱい失った時間が静かに響き合う作品。

小路幸也『蛍の光り』。春休み、小学生の勇人は浜松から両親と共に東京の祖父の家に移り住むことになった。小学生の勇人は祖父から蛍の光りの思い出を聞かされる心が洗われるような物語。

穂高明『夏のはじまりの満月』。2021年の皆既月食の日の再会…切なさと哀しみと共に希望を感じさせる物語。著者にとっても東日本大震災は心に大きな傷を受けた出来事だったに違いない。物語から受けた傷の深さが窺える。

小松エメル『宙色三景』。祖父と孫が見つめる川の蛍。遠い過去の記憶と宇宙とが渾然一体となった輪廻の世界を紡ぎ出す時をつなぐ邂逅。

原田マハ『ながれぼし』。新生活に向けての旅先で、期せずして音信不通だった母親と再会する娘。そして…何とも切ない物語。行間から滲み出るような母親の娘に向けた愛情が胸を撃つ。

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